今回は、私自身の体験を通して、“ゆるし”について考えてみたいと思います。
ゆるしには前提となる出来事が必要
私は、知人にお金を貸したことに端を発して、自己破産している過去があります。でもこれは、私の人生を語る上で外せない、重要な出来事だったと言えます。“人生における課題とゆるし”という点でみると、私にとってまさにテーマそのものでした。
自己破産したことで、社会的な信用を失ったことはさることながら、人生の失敗者のような感覚になり、当時はその後の人生に価値を見出せなくなるのではないかとも考え、自己肯定感がかなり下がりました。
この時、スピリチュアルはもちろんのこと、課題やゆるしのテーマがあるとは思いもしなかったために、自分は被害者・犠牲者だという思いが強く、相手に対する許せない気持ちで一杯でした。
「その人と出会わなければ、こんなことにはならなかった」
「なんて不誠実な人間なんだ!」
「善意を踏みにじるなんて許せない!」
そして、“自分が悪かった”、“人を見る目がなかった”と、自分に言い聞かせて、自分を納得させるしかありませんでした。
私の中には、怒り・恨み・悲嘆・自責など様々なネガティブな感情が渦巻いていました。
乗り越えるべき課題は、課題だけに簡単ではない
「時間が解決してくれる」という言葉がありますが、人生におけるインパクトのある出来事は、少しずつでも気持ちを落ち着かせて、冷静に受け止められるようになる時間が必要だと感じます。出来事に直面したばかりの時は、課題やゆるしのテーマとして受け止めるだけの気持ちになることなど、到底できません。
私には今世、“しっかりと意思表示する”、“感情に流されずに、時には毅然とした態度を取る” ことができるようになるという課題がありました。お金を貸し始めたものの、途中で、意思をしっかり表示して毅然とした態度を取り、断ち切ることもできたわけですが、それができなかったために、自己破産という出来事をもってしてようやく、その課題に向き合うことになったわけです。
大きな出来事ほど、課題に絡めて人生の脚本に組み込んできているわけですが、私にとっての自己破産は、まさに避けて通れなかった出来事、予定通りに起きた出来事で、これがなければ課題と真剣に向き合うことはなかったでしょう。
そして相手は、魂として交わした約束通りに、そのための役割を担っているに過ぎません。今では、私の魂の成長に必要な出来事だったと腑に落ちていますし、その貴重な経験をさせてくれた相手にも感謝しているのですが、ここまで来るのには正直時間が掛かりました。
実際のところ、出来事そのものは問題ではなく、出来事をどう捉えるかが問題です。自分にとって直視したくない・思い出したくもない過去の、もしくは現在進行中の出来事があるなら、そこには、あなたが今世で向き合うべきテーマが含まれているかもしれません。