今回の広島旅は2泊3日で、過去世にまつわる呉を訪れ、尾道を観光しました。尾道に連泊したのですが、それは、瀬戸内海に浮かぶ大三島(愛媛県今治市)に鎮座する、大山祇神社への参拝も視野に入れてのことでした。“日本の総鎮守”と呼ばれる大山祇神社は、尾道市街からしまなみ海道を利用すると、車で小一時間ほどです。
しまなみ海道は、瀬戸内海を挟んだ尾道市と今治市を、島を経由して有料道路がつないでいますが、大山祇神社には1年半前に、今治側からしまなみ海道を往復して参拝しています。実にどうでもいい話ですが、今回、尾道側からしまなみ海道を往復したことで、1年半越しに、しまなみ海道を走破したことになりました(笑)。
神社も移ろいゆく
境内に到着すると、風はなく、雲はあるものの爽やかな青空が広がっています。9時半になろうかという時分に到着したこともあり、陽はそこまで高くなっておらず、鳥居や大木が参道に大きく影を作っていました。
鳥居をくぐり、広い石畳の参道を奥へと進んでいきます。鳥居からほどなくして石橋を渡ると、総門に到着します。ところが、総門をくぐったところで、何か違和感を覚えました。その違和感の正体は、総門から先の石畳の参道でした。以前に訪れた時は、総門から先、神門の階段下で枝を伸ばす大楠に至るまでは、砂浜のような白い砂地が続いていたのです。それが強く印象に残っており、今回も湿った砂地を踏みしめて歩くのを想像していたので、すぐにその変化に気づけたのだと思います。
境内を堪能
平日午前中の比較的早い時間帯とあって、境内に参拝者はほぼ見当たりません。杜の中から鳥のさえずりが聞こえてきて気持ちがよかったです。落ち葉を掃き集めている人がいて、その掃き集めるザッザッという音が、静かな境内に小気味よく響いていました。
拝殿に到着すると、朝の神事が終わった直後のようで、巫女さんが御供物を下げているところでした。御祭神の大山積神(おおやまづみのかみ)に「さぁ、どうぞ参拝ください」と言われているような気がしました。拝殿内は、御神氣と朝の空気が相まって、とても清々しかったです。
本殿の両隣には、摂社の上津社(かみつやしろ)と下津社(しもつやしろ)が並んでいます。両社は、拝殿とつながった回廊から参拝できるようになっていて、奥のお社が見通せるガラスの入っていない格子の引き違い戸からは、時折心地よい微風が抜けてきました。
本殿の裏手など、本殿周りの末社を巡り終えた後、回廊の一角にあるベンチに腰掛けて目を閉じ、しばらく境内の雰囲気に浸っていました。