ご縁からご縁へ
先日、ご縁をいただいて、香川県丸亀市のイベントに出店させていただきました。そのイベント会場で、年に2日だけ参拝のために開通する橋があるという、三豊市の津嶋神社の話を耳にしました。
瀬戸内海に浮かぶ小さな島に本殿が建つ津嶋神社は、普段は四国本土の海岸にある拝殿から島を臨み、本殿を遥拝するのですが、1年のうち、夏季例大祭が行われる8月4日と5日の2日間だけは、橋を渡って本殿に直接お詣りできるのです。
イベントの開催日が8月4日で、翌5日も香川に滞在予定だったため、これもまたご縁だと感じて、迷うことなく参拝することにしました。
朝の5時45分に臨時駐車場へ到着。JR予讃線の線路を渡って境内へ向かうと、屋台が建ち並んでいます。時間的に営業はしていませんでしたが、日中から夜に掛けては、お祭りを一層盛り上げることでしょう。
境内に到着すると、橋へ向かわずに海岸へ出てみました。ちょうど潮が引いていて、湿った砂浜が広がり、橋脚が剥き出しになっています。夜が明けているとはいえ、雲が多いために陽が照りつけておらず、少しぼんやりとした明るさの中、橋の上に吊された外灯の明かりと赤い欄干が島へと続いていく風景は、なんとも幻想的でした。
いざ島へ
島へ渡る橋は、「つしまばし」と名がついていて、全長が250メートルほどです。普段は橋の入口は柵で閉ざされ、橋板が外されて橋桁のみになっているので渡ることはできません。例大祭の時だけ、橋桁の上に1000枚の板が敷かれて橋が開通します。
年に2日だけ渡れる橋の特別感を感じながら板の上を歩くと、籠もったような“コンコン”という音が心地よく響いてきます。島が近づいてくるにつれて気持ちも高ぶってきました。
島へ到着して、鳥居をくぐって階段を登り切ると、小さな社殿の中は幼児を連れた家族で埋まっていて、祈祷が始まるのをじっと待っていました。津嶋神社は、地元では子供の守り神とされていて、信仰を集めているようです。
参拝を済ませると、6時を迎えて、太鼓とともに祈祷が始まりました。島を後にする頃でも、朝の早い時間帯にもかかわらず、続々と親子連れが島を訪れてきます。どんなに時代が移り変わろうとも、子の幸せを願う親の心は変わらないのでしょう。
早朝の清々しい空気と橋や島がまとう雰囲気、親が子を想う気持ちに触れられて、例大祭開催日と巡り合わせていただけたことに、この上ない有り難みを感じました。