九頭龍社・奥社へ
中社の手前までは蕎麦屋や宿坊が建ち並んでいますが、中社の先は林道が続き、建物は点在するようになります。開けた場所に出たと思ったら、駐車場に到着しました。
「戸隠神社奥社入口」と書かれた看板に、いよいよ五社めぐりの締めくくりにして、長い参道を行く参拝がスタートするのだと思うとワクワクします。
鳥居の先は、砂利の敷かれた参道が真っ直ぐに延びています。参道を奥へと進んでいくと、両脇の小川からは“さらさら”と水の流れる音が、木立からは風が枝葉を揺らす“さわさわ”した音が、そしてあちこちから鳥のさえずりが聞こえてきます。戸隠山麓の広大な森は、野鳥の宝庫といわれるのも納得です。
随神門と杉並木
やがて参道には、落ち着いた朱塗りの随神門が見えてきます。緑の葉が茅葺き屋根を彩り、朱色とのコントラストを形成していて趣があります。
随神門を境に、景観と空気が一変します。随神門の手前くらいから、参道脇には杉の木が立ち並ぶようになってきますが、随神門から先は杉並木となり、空気はひんやりとして、御神氣が濃くなったような感覚を受けました。真っ直ぐに伸びた杉を見上げながら、荘厳な雰囲気に浸ってしまいます。
九頭龍社と奥社に到着
杉並木を抜けると参道は階段になり、傾斜もきつくなります。最終盤の階段を登っていくと、社務所が視界に入ってきました。
手水舎から階段を登ると左手に九頭龍社が、右手には階段があり、その階段を登った先に奥社があります。御祭神は九頭龍社が九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)、奥社は神話で岩戸を投げたとされる天手力雄命(あめのたちからおのみこと)です。
社殿のすぐ脇まで緑に囲まれた九頭龍社は、落ち着いた佇まいです。五社の中で最もコンパクトですが、山深い場所にあって、地主神として戸隠信仰の始まりとされるのに相応しい印象を受けました。
奥社は社殿の周りを石とコンクリートで固めてあり、冬の豪雪に考慮した造りになっています。社殿内は明かりがついておらず、まるで洞窟のようでしたが、中は氣が満ちていました。
無事に五社を巡り終えた後、鏡池に立ち寄りました。遠く戸隠連峰には雲が立ち込めています。薄曇りの空からパラパラと落ちてきた雨はすぐに上がりました。