戸隠神社の“五社めぐり”を2回に分けて書き綴ります。
宝光社
長野駅に近いカーシェアのステーションで車を借りて、飯綱高原を抜けて林道をひた走り、宝光社に到着しました。九頭龍社以外の四社は、それぞれ神話に登場する神様を祀っていますが、宝光社の御祭神は、中社祭神の御子神である天表春命(あめのうわはるのみこと)です。
鳥居をくぐったその先には、そそり立つように190段ほどの階段が控えています。境内を見渡せないことが気持ちを逸らせて、階段を一気に登り切りました。本殿に到着すると、ちょっとした達成感が味わえます。
境内には私の他に参拝者はおらず、朝の爽やかな空気に加えて、空を覆う雲が境内の御神氣をも包み込んで籠もらせているようで、なんとも神聖な雰囲気が漂っていました。その雰囲気に自然と呼吸も深くなり、参拝後はしばし浸っていました。
火之御子社
火之御子社はこぢんまりとしているものの、天鈿女命(あめのうずめのみこと)を主祭神とした四柱の御祭神が祀られていて、通りから近いところに社殿があります。五社の中で唯一御朱印の授与所がなく、御朱印は宝光社か中社でいただくのですが、日本各地の集落に数多く鎮座する社務所のない神社を連想させ、それがかえって身近に感じられました。
社殿の左奥に存在感のある二本杉が生えているほか、社殿の右手を流れる川の淵に桜の木があって、これが咲いた時、境内は春の風情に溢れるだろうなと、その様子を想像しました。
中社
商店や宿坊が建ち並ぶ通りを抜けると、天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)を祀った中社の鳥居が目に飛び込んできます。駐車場は境内の脇をクランク状(桝形)に延びる坂道をさらに進んだ先にあるため、そちらに車を回します。
駐車場からの境内の入口には西鳥居が建っていて、その先は階段を登らずに本殿に通じています。境内は開けていて、大きな杉の木が1本伸びているものの、開放感があります。参拝をしようとしたちょうどその時、篳篥(ひちりき)と太鼓が鳴り始め、思わぬ“歓迎”を受けて気持ちが高ぶりました。
本殿の右奥には滝が流れています。最近、滝に行く機会が増え、滝壺近くで浄化のエネルギーを浴びるのですが、今回思いがけず滝にご縁をいただきました。正面に目を閉じて立ち、冷気とともに浄化のエネルギーを全身に浴びることができました。
本殿正面の階段を下りていくと、根元から三本に別れて伸びる杉の大木があって、参道はその杉を避けるように迂回しています。境内正面の鳥居の下に立った時、薄い雲の向こうに太陽がぼんやりと顔を覗かせましたが、すぐに雲に覆われて見えなくなりました。
境内社を参拝し、いよいよ九頭龍社と奥社へ向かいます。