出迎えてくれたのは…
伊勢市駅の改札を出ると、本格的な風の時代の到来を予感させるような、吹きすさぶ風が迎えてくれました。今回の伊勢神宮訪問は春分の日の直前で、1年4カ月ぶりの参拝です。
外宮境内の杜の中に入ると、風は開けた場所を通り抜けていくだけで、あとは轟音を立てて上空の木々を揺らしていました。正宮の御帳は、過去の参拝では微かな風に押されるように、ゆったりと奥に行くか手前に来るかでしたが、今回は強風に煽られたカーテンのように揺れっぱなしで、それはまるで、これから風のように時代が動いていくことを象徴しているようでした。
おまけの話
余談ですが、前回外宮を訪れた際に、お父さんと小さいお子さんが第2鳥居の手前でやり取りしていて、それにほっこりしたことを今回思い出しました。
「あ、また門があるよー」
「門じゃなくて鳥居ね」
「とりい…」
「ここに来たらどうするんだっけ?」
「ぺこり」
子どものピュアな言葉や行動には、自然と笑みがこぼれますし、心が洗われる感覚になります。
別宮・瀧原宮(たきはらのみや)
今回の旅では、内宮の別宮のひとつで、これまで訪れたことのなかった瀧原宮を参拝することも目的としていました。伊勢神宮は内宮・外宮ともに別宮がありますが、瀧原宮は内宮から約40キロ離れた度会郡大紀町にあります。伊勢神宮の参拝者で、内宮・外宮域外の別宮を訪れる人はそれほど多くないのではないかと思いますが、その中でも瀧原宮は、伊勢市内から離れた場所に鎮座していることもあって、その数はさらに少ないかもしれません。
瀧原宮の鳥居の先に延びる参道は、域外別宮の中では最も長いです。どんどん杜の奥に入っていく、そんな感覚がありました。参道の途中には、内宮を彷彿させるような御手洗場があって、傾いた陽射しを受けて水面はキラキラしていました。
訪れる人が少ないことが影響していると思いますが、午後3時になろうかという時間帯にあっても、境内の空気は整っていて、御神氣が溢れていました。その御神氣に触れていると、然るべきタイミングで今回の初参拝に至ったことを、感じずにはいられませんでした。