早朝の内宮
一夜明けると、伊勢地方は前日と打って変わって、風のない穏やかな朝を迎えました。
毎回、早朝に訪れる内宮は参拝者も少なく、張り詰めた空気が境内を包んでいて、とても気持ちがいいです。3月に伊勢神宮を参拝するのは初めてですが、冬と春を行き来するような季節にあって、内宮域内に鎮座する別宮をまわり終える頃には、手が少しかじかんできました。
伊勢神宮では、内宮・外宮ともに2頭ずつ神馬が飼育されているそうで、境内には御厩(みうまや)があります。いつも午後に訪れている外宮では、御厩で白い毛並みの笑智号(えみともごう)に癒されているのですが、内宮は早朝に訪れているせいか、神馬を目にしたことがありません。内宮の神馬にも会いたい…(笑)。
参道からは外れた場所にある境内社2社の参拝を終えて、内宮を出るために五十鈴川に架かる宇治橋を渡っていると、雲に覆われていた空から朝陽が差し込んできました。
おまけの話
何かに導かれている時・後押しを受けている時というのは、驚くほど順調に事が運びます。
今回の伊勢神宮参拝旅もまさにそんな感じでした。伊勢には毎回、私の参拝仲間と泊まり掛けで訪れていて、定宿もあります。
私は、旅行の計画を立てるのが好きなので、参拝仲間はいつも私に行程を一任してくれます。今回は1カ月前に伊勢神宮参拝の話が出たのですが、お仲間の、“春分の日を迎える前に参拝したい”という希望があり、定宿に連絡を入れることになりました。すると、「(春分の日の2日前の日なら)2部屋だけ空いている」と、宿のスタッフがおっしゃるではありませんか。これだとちょうど、春分の日の前日までに参拝を済ませられるスケジュールです。
参拝仲間との旅程においては、“いつも調えていただいている”、そんな感覚を受けます。
別宮・伊雑宮(いざわのみや)
内宮の域外別宮では、志摩市にある伊雑宮もこれまで参拝したことがありませんでした。内宮からは15キロほど離れていますが、伊雑宮が伊勢神宮の本宮という説もあるようです。
他の域外別宮では、鳥居の先は、長短はあれ、参道が延びていますが、伊雑宮は開けていて、宿衛屋(しゅくえいや:お札、お守、御朱印受け所)と衛士見張所が迎えてくれます。
社殿を囲う杜の木の枝が、上空で綺麗な曲線を描くようにして整っていて、植生が他の別宮とは異なるように感じました。伊雑宮はゼロ磁場でもあるようで、パワースポットとも言われています。境内には、巾着のように根元が膨らんでいる“巾着楠”が生えていて、これはゼロ磁場の産物ではないか?!と想像を巡らせてしまいました。