水のエネルギー
今回の青森旅最大の目的は、十和田神社参拝でした。新青森駅前を出発し、八甲田山の麓を抜けて奥入瀬渓流沿いに車を走らせ、子の口の交差点に出ると、目の前に十和田湖の藍色をした湖面が広がり、いよいよここまで来た、という気持ちになりました。
十和田神社は十和田湖に付き出した中山半島の付け根に鎮座していて、自然公園財団の有料駐車場に車を停めて歩いて向かいます。土産物店が立ち並ぶその先に、森の奥へと続く入口のように鳥居が建っています。
杉の木が境内を覆うように伸びて陰を作り、根元にはシダが生い茂り、岩は苔蒸しています。2日前の土砂降りの雨による大きな水たまりがまだ残るくらい、夏の強い陽射しを遮るほど鬱蒼とした境内は、十和田湖が程近いこともあって、まさに水のエネルギーを感じる神社です。御神氣を水蒸気が包み込んだような雰囲気の参道を進んでいきます。
御祭神は日本武尊ですが、以前は水神信仰の象徴と言われていたのも納得できます。奥の院には青龍大権現が祀られていて、御朱印の2文字「青龍」が印象的です。
水たまりは、地元の男性が5人くらいで土を入れてならしてくださっていました。こうした様々なかたちで、また、見えないところでお世話をしてくださる人たちがいるからこそ、気持ちよく参拝できる。本当に有り難いです。
荘厳な雰囲気
手水舎から階段を登ると、拝殿に到着します。拝殿のあるエリアは少しだけ開けていて、狭い空から8月の陽が差し込んで拝殿を照らしています。空には龍神のような雲が浮かび、太陽には光の輪がかかっていました。
拝殿は昭和になってから建て直されたとのことですが、拝殿周りには絵巻のように鳥や魚や動物の彫刻が施されていて、その建築美に荘厳さを感じます。参道脇と同じように拝殿の周辺も苔むしていて趣深いです。
境内の末社2社は参拝できましたが、奥の院の青龍大権現を祀る祠へ向かう道は閉鎖されていて直接参拝することがかないません。境内社のすぐ脇にある杉の木の下に遥拝場所があったので、そこから青龍大権現のエネルギーに意識を研ぎ澄ませながら参拝しました。
境内には参道とは別に、”開運の小径”と名のつく十和田湖に続く道があって、そこには水神以外の、山ノ神・火ノ神・金ノ神・風ノ神に加えて天ノ岩戸が祀られた岩場と鳥居があります。祠はないのですが、岩が裂けて小さな洞ができていて、神聖な雰囲気が漂っていました。
水のエネルギーを堪能して御神域を後にすると、容赦ない陽射しが降り注いできました。