初めての琵琶湖
琵琶湖に浮かぶ竹生島には、かねてからずっと行ってみたいと思っていました。
前夜、琵琶湖周辺に一時的に激しく降った雨は上がり、明るくなった空には薄く曇が覆っています。彦根港から竹生島行きの船に乗り、竹生島に向けて40分の琵琶湖クルーズです。琵琶湖上から臨む周囲の山々には低く雲が垂れ込めていましたが、琵琶湖の上空だけ青空が覗き、陽が差してきました。
竹生島は日本三弁財天のひとつですが、島の寺院では御本尊として、神社では御祭神として、それぞれ弁財天が祀られていて、島全体で神仏習合を感じられます。
陽射しは強いものの、暑さをそれほど感じさせない気温で、緑の葉を湛えた木からは蝉の鳴き声が、上空からはトンビの鳴き声が響いてきます。
宝厳寺と竹生島神社は、一本道の手前と奥に位置するというわけではなく、周回できるようになっています。標高としては宝厳寺が高い位置にありますが、お好みでどちらから参拝してもいいと思います。私は一気に階段を登って宝厳寺を目指しましたが、参拝がてら少しずつ登っていきたい人は竹生島神社から巡るのがおすすめです。
いざ参拝…
まずは宝厳寺本堂。本堂内の参拝者は私以外にはおらず、心置きなく参拝できました。その後は、天井に施された飾りや弁財天像などを見物し、本堂の一角に配されたベンチに腰掛けて目を閉じ、本殿の空気に感覚を研ぎ澄ませました。微かな風が抜けてきて、心地よかったです。
本堂の建つエリアから、さらに階段を登ったところに三重塔と宝物殿がありますが、その一角にひっそりと建つ雨宝堂を参拝し、本堂エリアに戻ると、竹生島神社へ向かう道すがら、他のお堂や祠を巡っていきました。
唐門から観音堂へ入ると、参拝後は竹生島神社本殿へと続く舟廊下を進んでいきます。船櫓(ふなやぐら)を利用して作られたというこの廊下は趣がありました。
竹生島神社本殿と境内社をひと通り巡り、最後は島内で一番眺望がよい場所に建つ龍神拝所へ。風はなく、鮮やかな青色をした湖面は、鏡のように空と雲を映し出しています。
下を見下ろすと、鳥居の周辺には、一瞬、白い砂利が敷き詰められているのかと見間違うくらいの、参拝者が回廊から投げた、願い事を書いた“かわらけ”と呼ばれる土器で埋め尽くされていました。青い海と白い砂浜ならぬ、青い湖と白い土器のコントラストが鮮やかでした。
竹生島そのものが、というよりも、竹生島を島として“たらしめている”琵琶湖も含めて、とてもパワフルなエネルギーを感じました。